タクシー運転手さんの中にも、お酒が好きな人は多いですよね。
平均年齢60.1歳、97%が男性という実情を見ると
お酒好きな人が多いというイメージがつくのではないでしょうか。
隔日勤務終了後のお酒は格別なものがあり、特段問題はありませんが、勤務日の前日のお酒には注意が必要です。
ここでは、タクシー運転手がお酒について何に注意すべきかをみていきましょう。
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タクシー運転手にはアルコール検査が義務付けられている
2011年5月より、タクシー運転手をはじめ、運転を仕事とする業種では、乗車時にアルコール検知器を用いた検査をすることが義務付けられました。
一般車両で違反となるアルコール濃度は、道路交通法で、血中濃度0.3mg/mlもしくは呼気濃度0.15mg/Lとなっています。
タクシー運転手が行う乗車時のアルコール検査では、呼気に含まれるアルコールを測定します。
重要なのは、タクシー運転手が行うアルコール検査の場合、0.15mg/L未満でも「アルコールあり」とみなされ、乗車できないことです。
アルコール検査は会社に出社した時と退社する時のタイミングで行います。
その時間を会社によっては出勤時間として管理している会社もあります。
詳しいタクシー運転手の1日はこちらの記事をご覧ください。
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前日に飲み過ぎて翌日の検査で引っかかると仕事ができない
アルコール検査は、当日お酒を飲んでいなければ大丈夫と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、前日にたくさんお酒を飲むと、多少の睡眠をとっても、翌朝まだアルコールが残っていることも珍しくありません。
全国各地で警察が飲酒検問を実施していますが、最近では、飲酒検問を朝に行うことも増えており、2017年に午前5時から10時の間に摘発された飲酒運転は4,157件にものぼるそうです。
この中には朝まで飲んでそのまま、という人もいるでしょうが、一度仮眠をとった人も一定数いるようです。
0.15mg/Lという一般基準でも引っかかることがあるのですから、タクシー運転手の基準ではさらに注意しないといけません。
睡眠をしっかりとっていても、前日に焼酎の濃い水割りを一杯飲んだだけで引っかかったという事例もなります。
栄養ドリンクや、お酒の入ったチョコレートのような、一般的にお酒とみなされないようなものであっても、あまり時間をあけずに検査すると引っかかってしまうレベルなのです。
私はエナジードリンクを飲んだ直後に吹いて光らせたことがあります。
アルコール検査器が光るとサイレンみたいに光るので、すぐに内勤の方が駆けつけてきます。
そして、アルコール検査に引っかかってしまうと、その日は仕事をすることができず、1日分の売上をフイにしてしまうことになります。
たとえ、それがどんな理由であってもです。
そのため、仕事の前日のお酒は、量と時間に気をつけて飲む必要があります。
なるべく、直前は何も食べない方が無難です。
タクシー運転手として知るべきお酒の量と抜けるまでの時間
では、どれくらいの量を、仕事のどれくらい前に飲んでおくと安全なのでしょうか。
1時間で抜けるアルコールの量は、おおよそ「体重(kg)×0.1」(g)と言われています。
体重60kgの人ですと6gになりますが、これはあくまで「平均」ですので、安全を見て4gとしておいた方がよいでしょう。
例えばアルコール度数5%のビール500mlには、500×5%=25gのアルコールが含まれていますから、早い人では4時間くらいで抜けることになりますが、遅い人だと6時間経っても抜けきっていないということになります。
ということは、500mlの缶ビールを2本飲んでしまうと、12時間経ってもアルコールが抜けない可能性があります。前日の夜9時にお酒を飲み、翌朝9時にアルコール検査をする場合は、12時間の間があることになりますが、これでも十分危ないということです。
上記の事情を考えますと、前日のある程度早い時間に切り上げる場合であっても、摂取できるアルコールは40gまでにすべきでしょう。
では、代表的なお酒について、抜けるまでの時間を見ておきましょう。
種類 | 量 | 度数 | アルコール量 |
ビール | 500ml | 5% | 25g |
チューハイ | 500ml | 9% | 45g |
ハイボール | 350ml | 7% | 24.5g |
ウイスキー | シングル(30mi) | 40% | 12g |
焼酎 | 一合(180ml) | 25% | 45g |
日本酒 | 一合(180ml) | 15% | 27g |
ワイン | グラス一杯(120ml) | 12% | 14.4g |
注意すべきは、最近流行しているアルコール度数が強いチューハイです。
飲みやすく価格も低いのでつい手が出てしまいがちなのですが、500mlのストロングチューハイを一本飲むだけで40gをオーバーしてしまうのです。
チューハイを飲む場合は、量をおさえるか、度数の低いものにする必要があるでしょう。
また、2杯以上飲んだり、2種類以上のお酒を飲むことも危ないと言わざるをえません。
上記で言うと、ワインとウイスキーを除くと、2倍、もしくは2種類を組み合わせると40gをオーバーしてしまいますね。
勤務前日は一杯だけ、というのが安全でしょう。
さらに言うと、飲む時間帯にも気をつける必要があります。
前述のように、飲んでから12時間あけたとしても、40gのアルコールを摂取していると危険になります。
これが9時間になると、30gで危険水域になります。
お酒を飲むとよく眠れるからと、就寝前にお酒をたしなむ方がいらっしゃいますが、そうするとアルコール検査までの時間が短くなって危険が増します。
しかも、飲んですぐ寝ると、アルコールを分解する肝臓の働きが悪くなるため、翌朝アルコールが残る可能性があります。
これだけの危険がある就寝前のアルコールですが、唯一のメリットと思われる「よく眠れる」すら気のせいです。お酒飲んで寝てしまうのは、正常な睡眠ではなく、気絶しているに近い状態です。
以上の通り、勤務前日の寝る前のお酒は危険しかないため、飲みたくても絶対にガマンしましょう。
飲むなら寝る前に水を必ず飲みましょう。
1日のアルコール量は20gまでが大事
前日の早い時間に飲むのであれば、40gのアルコールまでは大丈夫そうですが、いかんせん個人差がありますので40gでも確実に大丈夫とは言い切れません。
また、お酒を飲みすぎると、二日酔いの危険があります。
二日酔いの場合、アルコール自体はなくなっていますが、アルコールを分解する際に発生した毒素が体内に残っています。そのため体調不良や、判断力の低下が起こります。
たとえ仕事ができたとしても、体調が悪かったり頭が回らない状態だと、仕事で成果につなげることも難しいでしょう。
以上をふまえて、個人的には勤務前日に飲むお酒はアルコール換算で20gまでにした方がよいと思います。
ビールだと350ml缶1本、日本酒だとグラス一杯になりますね。
これ以上飲んでも勤務はできると思いますが、隔日勤務のタクシー運転手は仕事をする日数が少ないので、1日に効率よく仕事をすることは非常に重要です。
物足りない方もいるかとは思いますが、それは仕事終わりや休日の楽しみにとっておきましょう。
営業中に飲酒運転で捕まった運転手もいる
前述の通り、タクシー運転手は乗車前にそのため、タクシー運転手が勤務中に酒気帯び運転をしていること自体が珍しく、以下のような場合くらいしか考えられません。
・勤務中に飲酒している
・勤務中に栄養ドリンクなど、アルコールを含むものを食べたり、飲んだりした
・検査をやっていないのにやったと偽って乗車した(個人タクシーの場合)
さらに、上記の通り、普通に考えてタクシー運転手は飲酒運転の可能性がほぼないため、タクシーは飲酒検問を素通りすることができます。
ですから、タクシー運転手が飲酒運転で捕まるというのはさらにレアケースで、以下の場合くらいしか考えられません。
・何らかの事故・事件が起き、捜査の過程で飲酒が発覚した
・飲酒検問を通過する際、明らかに飲酒と分かるレベルで酔っ払っていた
下の記事は、勤務中に飲酒し、交通事故を起こし、現場検証中に飲酒が発覚、逮捕されたものです。
タクシーの営業中に飲酒運転をしたとして、兵庫県警長田署は24日、道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で、神戸市西区のタクシー運転手の男(64)を現行犯逮捕した。「暇だったのでコンビニでビールを買って飲んだ」と供述しているという。
逮捕容疑は、24日午前1時35分ごろ、同市長田区腕塚町の国道2号で、酒気帯び状態でタクシーを運転したとしている。
同署によると、タクシーには客の男性会社員3人が乗車していた。直前に信号待ちの乗用車に追突し、乗用車の助手席に乗っていた女性(28)と、タクシーの助手席に乗っていた男性(42)が軽傷。駆けつけた同署員が酒の臭いに気付き、呼気から基準値を上回るアルコールが検出されたため逮捕した。
出典:産経WEST
飲酒運転の罰則を一応見ておこう
前項で述べた通り、勤務中に飲まない限り、タクシー運転手が飲酒運転になることはありえません。
そのためあまり必要はないかもしれませんが、参考までに飲酒運転の場合の罰則を記載しておきます。
呼気アルコール濃度が0.15ml/L以上であれば「酒気帯び運転」となり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑に処せられます。
また、0.15ml/L〜0.25ml/L未満であれば違反点数13点で90日の免停となります。0.25ml/L以上であれば違反点数が25点となり、免許が取り消される上、2年間は免許を再取得することができません。
さらに呼気アルコール濃度を問わず、酔って正常に運転ができないと判断される場合は「酒酔い運転」とみなされ、5年以下の懲役または100万円以上の罰金となります。さらに違反点数35点で免許が取り消され、3年間は再取得ができません。
いずれにしろ最低3ヶ月は運転できませんので、タクシー運転手の仕事は続けられないでしょう。
まとめ
繰り返しになりますが、勤務前にちょっとでもアルコールが残っていれば、タクシー運転手は仕事をすることができません。
それを避けるだけであれば前日にある程度の量を飲んでも大丈夫です。しかし、勤務日が少ないタクシー運転手は、勤務日には効率良く稼がないと生活が苦しくなり、休日も充実して過ごせなくなります。
そのため、前日に飲むお酒の量は、翌日良い状態で仕事ができる量と決めて飲むようにしましょう。
私は20gと決めていますが、人によっては10gかもしれませんし、もしかすると勤務前日には禁酒すべきかもしれませんね。
150日ガマンすれば、残りの200日以上を自由に過ごせるのですから、勤務前日のお酒の量は節度をもった量を心がけましょう。
言うまでもないことかもしれませんが、勤務時間でお酒を飲むことは論外です。効率的に仕事ができないばかりか、タクシー運転手生命が絶たれることもありますので、絶対にやめましょう。