私は宇都宮で4年間、学生時代を過ごしていました。
栃木県が魅力度ランキングで毎年最下層にランクインしているのには
「なにか理由があるのではないか?」と思い
在住経験を通して自分なりに感じたことをまとめてみました。
それでは見ていきましょう!
魅力度ランキングってなに?
魅力度ランキングとはブランド総合研究所が2006年から実施している地域のブランド力に関する調査です。
各都道府県と市区町村の魅力度・イメージ、観光・居住の意欲などを数値化することで
「地域ブランド」の現状を具体的に把握することを可能にし
地域行政の課題を明らかにすることを目的としています。
どんな評価基準でランキングが発表されているの?
消費者が各地域に抱く魅力度を全78項目の設問から
さらに出身都道府県に対する愛着度や自慢度を全26項目の設問から数値化しています。
主な調査項目は以下の通りです。
[box class=”glay_box” title=”調査項目”]
①外から視点の評価 【計72項目、1000市区町村および47都道府県】
認知度
魅力度
情報接触度
情報接触経路(ドラマや映画、ポスターやチラシなど)【16項目】
地域イメージ(歴史・文化の地域、スポーツの地域など)【16項目】
地域資源評価(海・山・川・湖などの自然が豊かなど)【16項目】
居住意欲度
訪問目的【16項目】
観光意欲度
食品購入意欲度
食品以外購入意欲度
産品購入意欲度
②内から視点の評価【計25項目、47都道府県のみ】
愛着度
自慢度
自慢要因【23項目】
引用元:http://www.tiiki.jp/brand_research/index.html
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なぜ、栃木の魅力は低いのか?
2017年度の都道府県の魅力度ランキングです。
1位は昨年に引き続き9年連続で北海道
最下位はこちらも昨年に引き続き5年連続で茨城県という結果でした。
もはや殿堂入りといってもいいですね。
昨年ワースト2位の栃木県はかろうじて順位を上げ、43位という結果でした。
祝最下層脱出!!!
ということで栃木県民は歓喜に湧いているようですが
順位が中途半端過ぎていまいちネタになりきれていない
というのが正直な感想です。
こちらは2017年度の魅力度上位100市区町村ランキングです。
実は栃木県の日光市は12位にランクインしているんです。
これってなかなかすごいですよね。
関東では鎌倉、横浜に続いて3番目に高い順位なんです。
ここで突然ですが、皆さんに質問です。
栃木県の県庁所在地はどこでしょう?
実は・・・
宇都宮市なんです。
「あー聞いたことある!!」「日光だと思ってた・・・」
そうなんです。
宇都宮市は県庁所在地でありながら、
日光市の人気に取り残されたせいか非常に存在感のない都市でもあります。
事実、日光市が12位にランクインしている一方で
宇都宮市は上位100都市にランクインすらしていないという結果が
人気のある日光市とその後塵を拝する宇都宮市という様子を如実に反映しています。
栃木県は魅力度ランキングで毎年最下層にランクインしていますが
足を引っ張っているのは明らかに宇都宮市なんですね。
なぜ宇都宮の魅力は低いのか?
僕自身が宇都宮市に在住していたということもあり、宇都宮の観光やグルメについてはかなり精通している方です。
なぜなら、旅行や食べ歩きが趣味で実際、当ブログ内でグルメ情報というカテゴリーを作ったりしてグルメを発信しています。
興味がある方は見てくださいね^^
また、栃木の観光名所には友人が東京から宇都宮に来た際に
「行きたい、行きたい」というので
かれこれ5回以上は行っています。笑
そこで、なぜ宇都宮市はこれほどまでに魅力がないのか。
僕なりの視点で感じたことをまとめていこうと思います。
1.特産品に独自性がない
皆さんは宇都宮といえば何を思い浮かべますか?
真っ先に餃子を思いつく方も多いかもしれません。
宇都宮市は餃子の消費量が日本一(2018年度総務省調べ)ということもあり
日本屈指の餃子都市なんです。
宇都宮駅周辺(東口)は餃子ストリートと呼ばれるほどで
見渡す限り餃子屋が立ち並んでいます。
さらに駅前には餃子のモニュメントが置かれた餃子広場なるものもあり
市全体となって餃子を前面に押し出した観光戦略をとっていることがひしひしと感じられます。
実際に大学の入学式で行われたスピーチで「餃子をいっぱい食べましょう」と市長自ら仰っていました笑
※このような石像があちらこちらにあります笑
僕も宇都宮餃子は何度も食べたことはありますが、正直言って美味しくないです。
観光地価格を利用して不当に高い価格でまずい餃子を売っているという印象ですね。
みんみんなど全国的に有名な店舗もありますが、言うほど大したことはないです。
横浜中華街の餃子の方が100倍美味しいです笑
美味しい餃子を食べにはるばる宇都宮にきたりすると痛い目に遭うのでくれぐれも注意してくださいね。
話が逸れてしまったのでそろそろ本題に入ります。
広島県支部のおこなった「地域資源を活用した特産品に関する調査研究」によると
特産品とは次のような特徴を持つものだと定義されています。
(1)定量面における特異性がある
全市場において一定のシェアがある、市場での存在が認知されるだけの売り上げがある、多数の企業による競争が行われている、一定期間販売していて今後も継続して販売していく見込みがある、など
(2)定性面における特異性がある
商品から生産地のイメージが浮かぶ、お客に訴えることができるストーリーがある、お客を引き付けるブランド力がある、など
参照元:https://www.j-smeca.jp/attach/kenkyu/shibu/h19/y_hiroshima.pdf
宇都宮餃子には(1)の定量面における特異性は認められますが
(2)の定性面における特異性に関してはちょっと微妙な気がします。
宇都宮市は餃子が美味しいというわけではなく、単に消費量が多いというだけです。
宇都宮市の代表的なグルメである餃子ですが、餃子って実際全国のスーパーどこでも手に入りますよね。
ましてや当初から人為的に街おこしを目的として広められた宇都宮餃子には
お客に訴えることができるオリジナルのストーリーなどありません。
例えば、広島のお好み焼きは、原爆の廃墟の中から
屋台として誕生したお好み焼きの店が発祥だといいます。
このように、単に消費量が優れているというだけでなく
商品そのものの独自性や他にはないストーリー性を持っていることが
全国的に有名で魅力的な特産品と認められる前提条件なのです。
2.歴史的観光資源の少なさ
歴史の蓄積がない都市の無味乾燥ほど魅力のないものはないと思います。
例えば、日本で人気のある観光地を思い浮かべてみてください。
京都や奈良、最近では金沢なんかも人気ですよね。
これらの都市に共通しているのは歴史的な建築物や空間が多いということです。
京都は寺社仏閣の数がコンビニよりも多いといわれているくらいで
清水寺や金閣寺、伏見稲荷大社など多くの世界遺産や文化財があります。
奈良も京都同様、大仏で知られる東大寺や法隆寺など世界遺産の数は国内最多といわれています。
金沢では日本三名園の一つである兼六園やひがし茶屋街といった古い町並みまでも観光スポットとなっています。
実はこうした歴史的な建築物や空間が観光地として人気を集めているのには
れっきとした理由があるのです。
それが「ゆらぎ」の概念です。
「ゆらぎ」とは簡単に言えば人間にとって心地の良い特殊な周波数のリズムのことです。
そして、歴史的建築物や空間の多くがこの「ゆらぎ」を持っているというのです。
僕たちが歴史的な場所を訪れたくなるのも
実はこの「ゆらぎ」を無意識に感じているからなのです。
「ゆらぎ」は「生命らしさ」とも言い換えることができます。
例えば、あなたは100%あなたの言うことを聞く恋人に惹かれますか?
おそらく、ほとんどの人はノーと答えるでしょう。
私たちの恋愛対象は不確実なゆらぎとしての性であり
生命らしさを感じるから恋愛をするのです。
これは遺伝子が少しずつゆらぐことにより進化してきた生物である人間としての本能であり
人間が「ゆらぎ」を持たない人工知能を恋愛対象としないことからも理解できます。
つまり、人間は無意識のうちに本能的にこの「ゆらぎ」というものに惹かれているんですね。
さて、話をもう一度宇都宮市に戻しましょう。
僕自身、自他ともに認める歴史マニアですが、宇都宮には本当に歴史的建築物がありません。
しいていうなら、大谷資料館ぐらいですかね。
そして宇都宮市にゆかりのある歴史的人物の少なさも歴史的建築物の少なさに影響していると考えられます。
例えば、独眼竜で知らない人はいない戦国武将伊達政宗の出身地である宮城県には
伊達政宗ゆかりの史跡や寺院などが多くあり
それらは同時に観光地としての役割を果たしています。
しかしながら、栃木県にはこれといって代表的な歴史的人物は存在しません。
しいていうなら、足尾鉱毒事件で活躍した田中正造くらいでしょう。
現在、足尾銅山は博物館として観光地化されていますが
その知名度の薄さからかそれほど人気はありません。
さらに、歴史的人物の存在は地域住民の郷土愛のシンボルとしての役割も果たします。
地域に統一された英雄像があるか、というのは
地域住民の思想を統一する上で非常に大切な要素となってきます。
これは、北朝鮮が国民の愛国心を高めるために国家主席の肖像画を崇拝するのと同じです。
統一された英雄像の存在は、地域への愛着心や誇りを育むのに大きな役割を果たします。
栃木県における、地域にゆかりのある歴史的人物の少なさは
前述した「ゆらぎ」の効果を持つ歴史的観光資源の醸成を妨げるだけでなく、
地域への愛着心や誇りをはぐくむ土壌の育成をも妨げているのです。
まとめ
宇都宮市の魅力度の低さには、独自性のなさや地域の歴史的背景など様々な要因が起因しています。
こうした意見も踏まえて、宇都宮市行政には
魅力度ランキングで上位に入るために何をすべきか、
いま一度地域の観光政策について見直してもらいたいですね。