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十勝若牛の特徴
ほかの牛肉と十勝若牛の違いは味・食感・香りにあります。
牛肉のサシ信仰が強い昨今。
十勝若牛はそんな風潮とは一線を画し脂が少ない赤身肉の、脂の味に頼らない旨みに満ちた肉本来の味が楽しめます。
肉質はきめ細かく柔らか。
多くの肉汁を含みジューシーです。
牛肉のクセのある匂いの元となるのは脂。
十勝若牛は脂が少ないうえに質もよいのでクセのある匂いはせずよい香りがします。
十勝若牛の産地は何県?
十勝若牛が育てられているのは北海道上川郡清水町です。
札幌から車で約3時間十勝のほぼ中心にある人口9337人(2020年2月末現在)の街。
年間平均最高気温24℃、最低気温-14℃。
酪農王国で牛乳の生産量乳牛の飼育頭数ともに全国トップクラスです。
十勝若牛の定義
十勝若牛はJA十勝清水町のブランド牛です。
以下の条件を満たした牧場で育てられます。
生産者は十勝若牛生産組合の組合員であること
十勝若牛生産組合が定める生産方法に則り肥育すること
十勝若牛生産組合が定める飼料を使用すること
肉色・肉質が基準に達したもの
ホルスタイン種であること
この中で特徴的なのは肉色・肉質が基準に達したものという条件。
複数の農家で生産するうえで品質を均一化するために考えられた条件です。
具体的には全ての牛肉の断面を専用撮影装置を使用して撮影。
画像データを帯広畜産大学で解析してもらっています。
十勝若牛の読み方
とかちわかうしと読みます。
十勝若牛の名前は2012年11月に地域団体商標(※)の登録をしました。
十勝若牛は地域に愛され官民一体となり地域全体で生み出したここにしかない独自の牛なのです。
(※)地域団体商標·····地域ブランドを適切に保護することにより、信用力の維持による競争力の強化と、地域経済の活性化を支援することを目的とし、2006年4月より導入された制度
十勝若牛の歴史やルーツ
酪農王国である清水町では毎年乳牛から子牛が生まれますがそのおよそ半数はオスです。
おわかりの通りオスから牛乳は取れません。
なんとかこの乳牛のオスの子牛を活用しようと考えられたのが、十勝若牛のプロジェクトです。
とはいっても日本で育てられている肉牛の約17%はホルスタイン種(農林水産省2019年畜産統計より)で珍しいというわけではありません。
ほかの牛と差別化するために15年以上の試行錯誤が続きました。
そしてたどり着いたのが生後約14ヶ月齢で出荷するという生産方法です。
通常ホルスタイン種の飼育期間は約20ヶ月、黒毛和種だと約30ヶ月。
飼育期間約14ヶ月とは異例の早さです。
これはもちろんコストカットができ安価で提供できるというメリットもあります。
しかし何より赤身肉のうま味のピークが約14ヶ月齢ということが最大の理由なのです。
ホルスタイン種の1番の魅力である赤身肉を1番おいしい状態で食べてもらいたいそんな生産者の思いが込められています。
ちなみにホルスタイン種というとみなさんが牛と言われて1番に思い浮かべるであろう白と黒の模様をもつあの牛です。
そのホルスタインですが正式にはホルスタイン・フリーシアンといいます。
約2000年以上前にドイツからオランダへの移民が伴った牛が基になっている最も歴史の古い品種とされています。
日本には明治18年ごろアメリカから導入されました。
当時のアメリカと同じ呼称のホルスタインという名が日本では一般的になりましたがヨーロッパではフリーシアンの呼び名の方が共通的だそうです。
十勝若牛の食べ方
十勝清水牛玉ステーキ丼を知ってますか?
この丼は新・ご当地グルメグランプリ北海道で2013年から3年連続優勝殿堂入りしています。
白いご飯にふわふわのスクランブルエッグ十勝若牛の特製味噌の味のステーキ。
おいしくないわけありません。
この十勝清水牛玉ステーキ丼には10の条件があげられています。
1正式名称は「十勝清水牛玉ステーキ丼」とする(愛称は牛玉丼とする)
2淡白な赤身の美味しさで知られる地元産の肉用牛「十勝若牛」を使用する
3ステーキ肉の味付けは、協議会していレシピに基づいた「味噌味」とする
4ステーキ肉はサイコロ状にカットする
5地元産の鶏卵を使用する
6鶏卵の調理方法は「味噌味ふわふわのスクランブル」とする
7鶏卵と組み合わせる食材は各店の自由とする(なるべく地元産の食材、旬の食材にする)
8北海道米を使用する
9協議会指定の白い卵型の丼を使用する
10料金は1000円(税込)以下とする
ごだわりつつも
提供するお店のオリジナリティも出せるよう工夫された条件です。
食べ比べをしたくなりますね。
十勝若牛の育て方はどうなっている?
清水町内の酪農家で生まれた子牛を十勝若牛を飼育する牧場へ導入します。
エサは牧草や飼料用とうもろこしのデントコーンなど自家産のものです。
エサとなる農作物を自分たちで作ることで牛たちに合う品質になるよう配慮ができます。
また、エサの配合やタイミングを成長段階に応じて調整。
一頭ずつ様子をみながら世話をしすます。
牛たちの過ごす牛舎は毎日掃除をし臭いがなく清潔な状態を保つのは牛たちにストレスを感じさせないため。
さらに専属の獣医師が定期巡回し一頭ずつ健康チェックをしています。
牛たちが元気に快適に過ごせるよう心がけています。
十勝若牛の偽物が出回っているって本当?
平成16年から牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛肉トレーサビリティ法)が施行されました。
この法律では国産牛肉について牛の出生からと畜場(食肉処理場)で処理され牛肉に加工され、小売店に並ぶ一連の履歴を10桁の個体識別番号で管理し取引データーを記録することが義務付けられました。
もちろん、十勝若牛も法律を遵守して飼育、流通、販売されますので偽物が入るスキはありません。
さらにJA十勝清水町と十勝若牛の枝肉(※)処理・加工・販売を担う清水フードサービス、専属の獣医師の3者で月に1度月例会を開いています。
ここで各立場からのフィードバックをおこなうことで十勝若牛のさらなる品質向上に努めています。
(※)枝肉····· 血液や皮、頭部、内臓などを除去した状態の牛
十勝若牛のおすすめの部位はどこ?
JA十勝清水町ネットショップではロースとスライスの2種類を用意しています。
ロースはステーキや炭火焼きなどの厚切りの料理に最適です。スライスはしゃぶしゃぶすき焼き、炒め物など幅広い料理に使えます。
濃い味の料理に使っても十勝若牛はしっかりとした赤身肉のうま味をもっているので料理に負けずに味わいが際立ちます。
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