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宗谷黒牛の特徴
宗谷黒牛は肉質の良い黒毛和種と寒さに強く放牧に適したホルスタイン種の交雑種です。
肉質も両方の良いところが受け継がれています。
赤身は味がしっかりしていて味わい深い。
力強い濃厚な美味しさです。
脂はほのかに甘くほどよい霜降り肉。
くどくない淡白な脂肪は口の中でとろけます。
宗谷黒牛のほとんどが本州に出荷されてしまい、北海道内では生産地を中心にわずかに流通するのみ。
道民でも知らない人すらいる幻の牛肉です。
宗谷黒牛の産地は何県?
宗谷黒牛が育てられているのは北海道宗谷郡稚内市(そうやぐんわっかないし)です。
札幌から車で約5時間、日本最北端のまちです。
人口33,261人(2020年4月末)。
年間平均最高気温28℃、最低気温-14℃。
海岸沿いに流氷が流れてくることでも知られています。
宗谷黒牛の定義
宗谷黒牛は株式会社宗谷岬牧場(以下、宗谷岬牧場)の単一農家のブランド牛です。
種付けから妊娠、出産、飼育、出荷まで全て宗谷岬牧場でのみ行なっています。
独自に設けた厳しい生産基準にくわえ、JA全農の全農安心システムをクリアした安全・安心な牛肉です。
宗谷黒牛の読み方
そうやくろうしと読みます。
宗谷とは北海道の原住民族アイヌの言葉でソーヤ「岸の海中に岩の多いところ」が由来と言われています。
黒牛とはルーツのひとつ黒毛和種のこと。
宗谷黒牛は土地と血の両方のルーツを名前にもっているのです。
宗谷黒牛の歴史やルーツ
1984年前身の宗谷岬肉牛牧場が設立。
宗谷管内の7市町村と7農協が出資した社団法人宗谷畜産開発公社の直営牧場です。
肉用牛の受託育成、繁殖育成をする計画でスタートしました。
そして2007年にJETファームグループと統合、新たに株式会社宗谷岬牧場を設立。
現在は肉牛を飼養する肥育、全国から優秀な種雄牛の子牛を求めバランスのとれた子牛の生産をおこなう肉用繁殖、生乳を生産する酪農、飼料自給や循環型経営を目指す資料作物の4つの部門を持つ大規模農家に成長しました。
日本で肉用牛の交配が始められたのは1887年。
外国種の牛が輸入されたことをきっかけに在来和種との交配が行われました。
当時は経験も情報もないなか手探りで交配が行われ肉質の悪い牛が多く生まれました。
それを受け1912年に地方の実情に合わせて各県で独自に目標をたて、改良することを奨励すると国からの通知がでます。
1975年ごろ牛肉は唯一需要の伸びが期待できる畜産物とされていました。
そこで肉用牛を飼育する農家は飼育期間が長い和牛だけではなくコストカットに繋がると比較的飼育期間が短くてすむ交雑種の育成を始めます。
さらに生乳生産を主とする酪農家にも変化が起こりました。
乳牛は妊娠、出産しないとミルクを出せません。
なので雌牛は母牛になって初めて乳牛とされるのです。
そこで同じ乳用種と交配させるのではなく黒毛和種と交配し交雑種の子牛を市場に出し副収入とするようになりました。
この時代から交雑種が市場に多く出回るようになったのです。
宗谷黒牛の食べ方
宗谷岬牧場では宗谷岬牧場のハンバーグという商品を販売しています。
原材料はもちろん宗谷黒牛。
ほかの材料は玉ねぎ、鶏卵、パンのみ。
これらも全て北海道産です。
余計なものが入らない、宗谷黒牛をぞんぶんに味わえるふっくらジューシーなハンバーグです。
毎年開催される食による賑わいのある街をテーマにしたグルメイベント、最北端・食マルシェでも宗谷黒牛は振る舞われます。
その料理法は丸焼き。
豪快に1頭串刺しにして丸焼きにします。
毎回行列ができるほどの人気です。
宗谷黒牛の育て方はどうなっている?
宗谷黒牛の生産者はこう語ります。
「この雄大で尊い自然に調和した畜産を確立するのもこの牧場の使命だと思っています。」
宗谷岬牧場では日本全国から安定した遺伝力の高い種雄牛の子牛を求め、牧場内で相性の良い牛どうしで人工授精をし、バランスのとれた良質な牛の生産。
人工授精が成功し母牛は妊娠が確認されると放牧します。
放牧が終わるのは10月の下旬。
母牛たちは夏の間にたっぷりと牧草を食べ、健康で元気な子牛の出産に備えるのです。
冬、牛舎で過ごす間は栄養状態や出産までの日数に応じてエサを与えます。
子牛が生まれたら月例ごとにステージをわけて、牧場独自の基準で統一管理。
一般的な肉牛は14~17ヶ月くらいの間に穀物中心の濃厚飼料をたっぷり与え、早く大きくします。
しかし宗谷黒牛はそうはしません。
宗谷黒牛は広大な自然の中で放牧し、たっぷりと牧草を食べさせ、24~29ヶ月かけてゆっくりとおいしい肉牛に育てて出荷します。
宗谷黒牛のエサは潮風を浴びたミネラル豊富な牧草などの自家産飼料中心。
家畜の排泄物を肥料として飼料畑に使用し、無農薬、無化学肥料の飼料作りを実践しています。
水は病原菌が入らないように公共の水道水を与え、衛生検査も実施。
牛が口にするものも安全・安心の徹底をしています。
宗谷黒牛が育てられているのは平均15℃という冷涼な環境。
病害虫も少なく牛たちのストレスもあまりありません。
牧場内ではロボットを導入した設備環境やキメ細かい情報管理、最新科学に基づく交配や飼育法を取り入れるなど近代的な経営法を確立。
安全で効率的な環境を整えることで、牛たちも働く人もストレスを少なくしています。
宗谷黒牛の安全・安心の取り組みは?
2004年から牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛肉トレーサビリティ法)が施行されました。
宗谷岬牧場でも法律に基づき生産履歴、飼育管理を記録化しています。
さらに2019年Safe Quality Food(SQF)の認証を取得。
SQFは1994年にオーストラリアで策定され、現在は食品マーケティング協会(FMI)が所有、管理しています。
SQFには農場HACCP(※)も組み込まれていて、食品製品を最高基準により生産、加工、調製、処理することを証明する認証プログラムです。
また全農が認証している全農安心システムも導入しています。
これは生産、加工などの工程管理の記録を残しながら生産者と消費者を商品と情報で結ぶシステムです。
これらの内容を自社だけでなく第三者が客観的に確認することで、消費者の安心につながる商品の提供と情報発信を目指すものです。
(※)農場HACCP:農林水産省が公表した農場における飼養衛生管理基準(農場HACCP認証基準)をもとに認証されます。これは生産される畜産物の安全性の確保及び、生産性の向上を図るために作られた制度です。具体的には病害や事故の原因となる微生物や化学物質、異物など危害要因を事前に把握し、継続的に管理します。
宗谷黒牛のおすすめの部位はどこ?
宗谷黒牛は通販でも買うことができます。
香り、風味どれをとっても抜群のサーロインと上品な風味で最上部位ともいわれるヒレはステーキ用にカット。
濃厚な味わいでこってりとしたカルビ、きめ細かく柔らかなモモは焼肉用にスライス。
あなたの好みに合わせて選んでくださいね。