皆さん、内臓系のお肉はお好きですか?
ホルモン(小腸)や大腸、レバー(肝臓)などが代表的な部位ですね。
臓物を食べるのでちょっと気持ち悪いと感じる方もおられるかもしれません。
しかし、このような内臓系のお肉には、
カルビやハラミなどの赤身肉にはない大きな魅力があります。
それは、
部位ごとに全く異なる食感と味わい
です。
赤身肉でも脂のノリや食感に多少違いはありますが、
基本的に味わい自体は部位が違ってもそんなに変わりません。
これに対して、内臓肉では
「これホントに同じ動物からとったの!?」
というぐらい、部位によって特徴的な味わいがあります。
そんな内臓肉の中から、
今回は少し珍しいお肉”コブクロ”についてご紹介します。
「コブクロなんて初めて聞いた」という方でも
この記事を読めば、色々語れるようになると思います。
終盤には余談も入れていますので、
気楽にお付き合いいただければと思います。
それでは早速参りましょう!
Contents
コブクロはどこの部位?名前の由来は?
まず初めにコブクロとは、いったいどこの部位なのでしょうか。
ズバリ、子宮 のことです。
ギョッとする方もいるかもしれませんね。
筆者もコブクロの存在を初めて知ったときは、
そんなとこまで食べるの?って思いました。
そのうちだんだん分かってきたのですが、
家畜として飼われる動物は、
ほぼすべての器官を食べることができます。
コブクロ以外にもあんなところやこんなところ…
これについては後ほど紹介します。
名前の由来についてですが、
子宮は赤ちゃんが入っているところなので
コブクロ(子袋、仔袋)です。分かりやすい呼び方ですね。
では、ここから動物ごとに見ていきましょう
牛のコブクロについて
実は市場に出ているコブクロは豚のものが多いのですが、
牛のコブクロももちろん食材として使われています。
焼肉屋さんでたまに見かけることもできます。
子宮なのでメスからしか取れないうえ、
一頭からとれる量も少なく
なかなかの希少部位です。
牛のコブクロの特徴は?
コリコリとした食感で、弾力があります。
見た目はホルモンなどと比べても臓物感があり
ちょっとグロテスクなのですが、
味は淡白です。ただ、お店の処理法によっては
やや臭みが感じられることもあります。
逆に、コブクロに臭みがないお店というのは
下処理をきちんとしている証なので、
他のお肉もおいしく食べられるお店である
と考えられます。
続いて、豚のコブクロについてです。
豚のコブクロ
先ほども書きましたが、
市場に広く出回っているのは豚のコブクロです。
焼肉屋さんで見かけるほか、
中華料理、韓国料理にも豚のコブクロを使ったメニューが多数あります。
時々スーパーでも売られていることがありますね。
豚のコブクロの特徴は?
牛のコブクロよりも豚のコブクロが広く流通している理由、
それは価格と手に入りやすさに加えて、
豚のコブクロの方が柔らかく、食べやすいからです。
お肉自体に味はほとんどないですが、
噛みしめるとやや甘みが感じられます。
コブクロの食感には個体差があるのですが、
それ以外に出産を経験した個体としていない個体でも
見た目、食感が違ってくるようです。
一般的に好まれて飲食店で提供されるのは、
出産を経験していない個体のコブクロです。
こちらはきれいな薄ピンク色をしています。
これに対し、出産を経験した個体のコブクロは
少し黒味がかった色をしています。
ただ、こちらの方が厚みがあり食感をより楽しめるため、
こちらを好まれる通な方もおられるとか。
主に業務用スーパーなどで取り扱われています。
コブクロの栄養素について
さて、ここからはコブクロの栄養についてです。
今回はより広く流通している豚コブクロを基準にしてご紹介します。
コブクロは内臓系のお肉の中でも
トップクラスのローカロリー高たんぱく部位です。
豚コブクロの場合ですと、100g当たり70kcal ほどしかありません。
また、脂質・炭水化物も少ないので、
ダイエット中の方や女性の方でも気にせず食べられます。
そのほか、糖質の代謝に必要なナイアシンや
DNAの生成を助けるビタミンB12などが豊富に含まれています。
一方、牛のコブクロは
豚のコブクロと比べて少しカロリーは高くなります。
100g当たり106kcal です。高いと言っても、
牛のほかの内臓系のお肉(ホルモン 287kcal、ミノ 182kcal)と比べれば少なめですので
そこまでカロリーを気にして食べるのを躊躇する必要は無さそうです。
こちらも豚のコブクロと同様、ビタミンB12が豊富です。
それに加えて、色々な酵素のもとになる亜鉛も多く含まれています。
豚でも牛でもコブクロは、カロリーを気にせず食べられる嬉しい食材ですね。
コブクロの下処理はどうやるの?
コブクロを家庭で調理しようとする場合、最初に気をつけねばならないのは、
あの独特の臭いの処理です。ここでしっかり処理しておけば、
調理した後に気にならずに済みます。
どのように臭いを取るかというと、
濃い目の塩水で丁寧に洗うことです。
塩水でなくても、コブクロに直接塩をもみ込んでも大丈夫です。
臭いが気にならなくなるまで、水を替えながら繰り返し洗います。
これで下処理はOKです。
小麦粉で洗うのがいいという話もあるようですが、
水分を含むときれいに洗い流すのが大変です。
そのうえ、塩ほどの消臭効果もありませんのであまりおすすめはしません。
コブクロの下処理は
塩水で丁寧に洗う or 塩をもみ込んで洗うこと!
コブクロの焼き方
コブクロに限らず、内臓系のお肉は焼き加減を見極めるのが難しいです。
「生焼けが怖いからしばらく焼いてたら焦げて硬くなった。」という経験ないですか?
コブクロはいつ頃が食べごろなのでしょうか。
生のコブクロは薄いピンクをしていますが、熱が通ると白くなって肉が縮んできます。
この縮みを焼き加減の目安にしてください。
まず片面焼いて、肉の縮みが止まったら裏返します。
裏面の縮みも止まったらそれで完成です。
お好みで少し焦げ目をつけてもいいかもしれませんが、
基本的にお肉は加熱すればするほど硬くなりますのでご注意を。
食感を損なわない範囲で調整してみてください。
焼くときは
おすすめ料理
さて、ここからはコブクロを使った料理をご紹介します。
ご家庭でもできるレシピですので、気になった方はぜひチャレンジしてみてください。
なお、今回は豚のコブクロを使ったレシピになります。
超簡単!コブクロ刺し風
コブクロ刺しという名前ですが、もちろん生ではなく加熱します。
パパッと調理でお店で出てくるようなおつまみになります!
材料
コブクロ 150 g
コチュジャン 小さじ1
ごま油 大さじ1
塩 適量
step
1コブクロに下処理をして臭みを取ります。
step
2コブクロを茹でます。もし臭みが残っている場合は10分ほど茹でた後、水を入れ替えてもう10分茹でましょう。
step
3茹で上がったコブクロにコチュジャン、ごま油、塩をかけて混ぜる
step
4皿に盛りつけて完成
このほかネギやニンニクを足してもおいしいです。
お肉にクセがない分、どんな味付けにもなじんでくれます。
塩、醤油、タレなどお好みで試してみてください。
シンプル調理でコブクロの食感を存分に味わいましょう!
コブクロの値段ってどのくらい?
コブクロって実際購入しようと思ったらどのくらいの値段なのでしょうか。
通販サイトで調べてみました。
サイトにもよりますが、今回筆者が調べた限りでは
牛のコブクロの場合、1 kg 2400円前後
豚のコブクロの場合、1 kg 1500円前後
くらいが相場のようです。ただ、牛のコブクロは単体で売られていることは少なく、
ホルモンミックスの中の一種類として扱われることが多いようなので、
購入の際はご注意ください。
また、産地や鮮度によっても多少値段は違いますのでご了承ください。
豚コブクロでもそこそこの値段しますが、
未知の食感に出会ってみたい方は検討されてみてはいかがでしょう。
鳥のコブクロはないの?
さて、ここまで牛、豚のコブクロについて説明してきました。
ただ毎回おなじみのあの動物に触れていません。そう、鳥です。
実は鳥は哺乳類と違い卵で子供を産むのでコブクロがありません。
ですが、産卵のときに卵が通る輸卵管や卵巣部などは「ひも」と呼ばれ、
焼鳥のネタの1つとして食べられています。また、卵巣内にある卵になる前の
黄身だけの状態で残っているものは「きんかん」と呼ばれます。
この「ひも」と「きんかん」を一緒に串に刺したものは
「ちょうちん」と呼ばれ、かなり通好みのネタです。
鳥は牛や豚などの哺乳類とは生態が大きく異なりますので、
今回のコブクロのように、牛と豚にはあるのに鳥にはないというものがあります。
前回の”サガリ”のときも少し違いがあることをお話ししました。
しかし、逆に鳥からしか取れない部位もあります。砂肝などはその代表ですね。
鳥に関しては、焼鳥屋さんに行けば
食べられる部位は大抵そろっているので、
こちらも要チェックです!
このように牛、豚、鳥いずれも余すところなく食材として使われているのです。
命に感謝して無駄にすることがないよう味わっていきたいですね。
日本でコブクロと言えば…
ところで皆さん、この記事を読んだとき
「コブクロ」と聞いて何を思い浮かべましたか?
筆者も初めて聞いたときそうだったのですが、
音楽ユニットの”コブクロ”を思い浮かべた方もおられるのではないでしょうか。
彼らのユニット名は今回紹介したお肉のコブクロと関係しているのでしょうか?
もはやお肉にあまり関係ないうえ、ファンの方からすれば常識なのかもしれませんが、
せっかくの機会なので調べてみました。
結論「お肉のコブクロとは関係ない」ようです。
このユニット名は、メンバーである小渕(コブチ)さん、黒田(クロダ)さんの名字が由来とのこと。
筆者としてはいつかコブクロ(お肉の方)の歌を作ってくれないかと密かに期待しています。
まとめ
いかがでしたか?
ちょっとマニアックな内臓肉”コブクロ”についてご紹介しました。
なかなか見る機会は少ないうえ、臓物感満載の外見なので、
食べた経験がある方は少ないかもしれません。
ただ、しっかりと下処理をすれば臭いも気にならないですし、
何よりあの独特な食感は一度は体験してみていただきたいです。
この記事で興味を持っていただけた方は、
通販なども使ってぜひチャレンジしてみてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは、また別の記事でお会いしましょう!