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八甲田牛の特徴
八甲田牛はみごとな濃紅色の赤身が特徴の牛肉です。
濃厚で深く、牛肉本来の味わいを実感できます。
脂は牧草をたっぷり食べた証でもあるクリーム色。
これは草由来のβカロチンの影響です。
霜降り和牛の柔らかなそれとは明らかに異なるしっかりとした歯ごたえ、ジューシーな肉汁を感じることができます。
また、栄養価でも黒毛和種よりアミノ酸が豊富で、脂肪燃焼効果を高めることも期待できるのです。
脂肪が少なく健康志向の消費者も満足できます。
八甲田牛の産地は何県?
八甲田牛は青森県青森市の南にそびえる八甲田山のふもとで育てられています。
青森市は人口278,964人(2020年4月末現在)。
年間平均最高気温20.6℃、最低気温-10℃。
青森県のほぼ中央に位置する県庁所在地でもあります。
八甲田牛の定義
八甲田牛は八甲田牛消費拡大協議会より八甲田牛認証マークをもって証明をされています。
認証基準は以下の通りです。
・八甲田山麓で育った日本短角種であること
・牛枝肉取引規格(※)2以上とする
・出荷月齢は18~30ヶ月とする
・協議会員を通して流通されたものとする
(※)規格:脂肪の入り方、脂肪の色つやと質、肉の色つや、肉の締まり具合ときめの4項目から総合的に判断される肉質等級を1~5で表している。サシの入った霜降り肉が高い評価となる。
八甲田牛消費拡大協議会は1989年、青森市役所内に事務局を設置し、地元精肉店代表取締役が会長を務め、官民一体となり設立しました。
地域の特産である八甲田牛の地元での消費拡大と販路拡大を進め、消費者に良質かつ安全な牛肉を提供することを目的としています。
活動内容は販売店での試食販売やPRリーフレットの配布、イベント企画などです。
八甲田牛の読み方
はっこうだぎゅうと読みます。
八甲田牛は生まれ育った土地の名前を冠し、土地に根付いた肉牛なのです。
八甲田牛の歴史やルーツ
短角牛こと日本短角種は南部牛とショートホーン種などの交配で生まれ、1957年に命名されました。
短角牛とはいいますが、角が短いわけではありません。
ルーツの1種ショートホーン種(shorthorn=短い角)の名前を汲んでいるのです。
牧草やワラなどの粗飼料でもよく育ち体も大きくなります。
寒さに強く丈夫な体で季節によって体毛の色が変わります。
おっぱいの出がよく子育て上手でもあります。
普段は穏やかな性格ですが子どものこととなると攻撃的になる面も。
これらのことから夏山冬里方式(夏は放牧で野山ですごし、冬は牛舎ですごす)による放牧という飼育方法と相性がよいのです。
南部牛とは旧南部藩(現在の岩手県中部から北部、青森県東部、秋田県北東部)で古くから田畑を耕したり、鉱石運搬したりするなどの人の作業のために使われる使役牛(しえきぎゅう)として飼われていました。
四肢が短く、体が丈夫なことが特徴です。
ショートホーン種はイギリス原産の牛です。
肉付きはよいのですがやや小型。
ミルクがよく出るように早く体が大きくなるようにと品種改良を重ねられてきました。
八甲田牛を含め、青森の日本短角種の出荷頭数は多いものではありません。
理由の1つは市場の規格がサシの多さ、美しさを基準としているためです。
農家は赤身主体の日本短角種よりもサシが入りやすく高く売れる黒毛和種を飼育するようになっているのです。
また、牛肉の輸入自由化で価格が急落したこともあげられます。
ピーク時には八甲田牛の年間出荷頭数200頭をこえていましたが、2006年にはわずか4頭まで激減しました。
1993年に商標登録をしてブランドを確立。
地元を中心に認知度を上げできました。
しかし飼料価格の高騰、農家の減少による子牛の市場価格の上昇、生産者の高齢化、後継者不足など八甲田牛を取り巻く環境は厳しいのが現状です。
八甲田牛の食べ方
八甲田牛はステーキや焼肉、しゃぶしゃぶのような王道の牛肉料理でももちろんおいしく食べられます。
しかしそれだけでなく肉質がしっかりしているため煮込み料理にしても味を損ないません。
八甲田牛など地元の特産品を多くの人に知ってもらいたいと開催されるあおもりバル街というイベントでは、八甲田牛のローマ風トマト煮が提供される大盛況となりました。
ちなみにローマ風煮込みとはパプリカと一緒に煮込んだ料理のこと。
また、ふるさと教育の一環として年に1回程度、地元の給食のメニューにも八甲田牛が取り入れられています。
八甲田牛の育て方はどうなっている?
八甲田山のふもとにある市農業振興センターで八甲田牛の子牛のほとんどが生まれています。
子牛は感染症にかかりやすく特別なケアが必要です。
ある程度大きくなると放牧地に移動します。
放牧地があるのはブナ、ミズナラなどの原生林が広がる標高約500mの場所。
清涼な水と空気の中、牛たちはストレスフリーで夏から秋にかけて過ごします。
朝は日の出とともに起き、牧草を食べながら歩き回りしばらくすると休憩します。
夕方まで牧草を食べ、歩き、休むをくり返し、夜になると眠るのです。
1日の睡眠時間は12時間前後。
25℃以上の気温の高い日には昼間、木陰で休み、夜の涼しい時間に草を食べます。
冬が始まる前に牛舎へ移動。
少しの穀物とたっぷりの乾草、稲わらを中心に食べのんびり過ごします。
2シーズンの放牧をし、体重730kgくらいになると出荷です。
この夏山冬里方式の飼育法は抗生物質の投与が少なくすみます。
さらに定期的に検査をしっかりとおこない安全確認を徹底し、消費者へ安心な牛肉を届けています。
八甲田牛のおすすめの部位はどこ?
八甲田牛は部位によって違った味わいをもつ肉牛です。
うまみ成分やコラーゲンが豊富で濃厚な味わいのカタ。
脂肪が少なくキメが荒いもののうまみエキスが豊富なネック。
キメ細かく赤身と脂のバランスがよく柔らかいリブロース。
あなたの好みや料理に合わせて選んでくださいね。