Contents
あおもり短角牛の特徴
あおもりの短角牛は牛の健康、安全を大前提にした牛肉です。
牛肉というと霜降りのものが喜ばれがちですが、そのために牛たちの健康や安全よりも肉質が重視されることが多くあります。
そこで健康志向、本物志向の消費者にこそ選んでもらいたいのがあおもり短角牛です。
あおもり短角牛は脂肪が少ない赤身肉。
肉本来の旨みが豊富で、黒毛和種よりも旨み成分である遊離アミノ酸が多いことがわかっています。
また、食後も口に脂が残らずさらりと食べることができる牛肉です。
あおもり短角牛の産地は何県?
あおもり短角牛は青森県の各地で育てられています。
青森県といえば本州最北端、三方を海を囲まれ土地です。
人口1,234,393人(2020.5.1現在)。
年間平均最高気温28℃、最低気温-5℃。
りんごのイメージが強いかと思いますが、日本酒づくりも盛んで陸奥八仙、田酒、豊盃など銘酒が多くあります。
あおもり短角牛の定義
青森県内で生まれ育った日本短角種をあおもり短角牛と呼びます。
日本短角種は霜降り肉を至上とする現在の格付けでは評価されず、全国的に飼育頭数が減っている希少な肉牛です。
あおもり短角牛の読み方
あおもりのたんかくぎゅうと読みます。
短角牛とは日本短角種の俗称です。
あおもり短角牛は青森県内各地で飼育されていて、それぞれ七戸短角牛、十和田牛、青い森の元気牛などの名前で流通しています。
あおもり短角牛の歴史やルーツ
日本短角種は1975年頃まで青森県の主力品種として飼育されていました。
しかし1991年の牛肉輸入の自由化以降、肉質が競合するうえ価格競争が厳しいという理由で黒毛和牛に転換する農家が激増。
そんな状況を危ぶみ1992年に七戸畜産農業協同組合が中心となり、産、官、民が一体となった日本短角種牛肉産直協会が設立されます。
黒毛和種よりも価格が安く、健康な牛、ヘルシーな赤身肉として販売促進活動をしています。
さらに2001年のBSE問題(※)を契機に2003年から一部で有機畜産JAS規格の取得を目指す取り組みを始めました。
具体的な飼育方法は農薬や化学肥料を使用せず生産したエサを与え、放牧とゆとりある牛舎での飼育です。
そして2009年有機畜産JAS規格を取得。
これは日本国内の日本短角種では初めてのことでした。
短角牛こと日本短角種は南部牛とショートホーン種などの交配で生まれ、1957年に命名されました。
短角牛とはいいますが、角が短いわけではありません。
ルーツの1種ショートホーン種(shorthorn=短い角)の名前を汲んでいるのです。
牧草やワラなどの粗飼料でもよく育ち体も大きくなります。
寒さに強く丈夫な体で季節によって体毛の色が変わります。
おっぱいの出がよく子育て上手でもあります。
普段は穏やかな性格ですが子どものこととなると攻撃的になる面も。
これらのことから夏山冬里方式(夏は放牧で野山ですごし、冬は牛舎ですごす)による放牧という飼育方法と相性がよいのです。
一般的な肉牛は人工授精か受精卵移植が多いのに対し、放牧中の自然交配により子牛の生産が行われることが多くあります。
南部牛とは旧南部藩(現在の岩手県中部から北部、青森県東部、秋田県北東部)で古くから田畑を耕したり、鉱石運搬などの人の作業のために使われる使役牛(しえきぎゅう)として飼われていました。
毛色が濃赤褐色であることから、赤べこと呼ばれて親しまれてきました。
日本短角牛は地域の自然、風土、経営条件に適するように長い年月をかけて改良が重ねられた牛で、青森の山村の暮らしの中で育てられてきたものといえます。
(※)BSE問題…2000年代初め、BSEと呼ばれる牛の感染症が発生。イギリスをはじめアメリカ、日本でも感染牛が見つかる。これを機に消費者が牛肉の購買や食べることに抵抗感を示すようになった。
あおもり短角牛の食べ方
赤身で旨みがいっぱい詰まったあおもり短角牛はモモステーキをレアで食べるのがオススメです。
冷凍で取り寄せができるのですが、おいしく食べるための生産者が教える解凍のコツというのがあります。
「温水をかけたりして急速に解凍しようとするとドリップが出てしまい、せっかくの肉の風味が半減してしまいます。
やはり緩慢解凍をするのがベスト。
水を張ったボウルに氷を適量入れ、肉をビニール袋でピッタリ包みそのままボウルに入れます。
こうすると意外と早く解凍され、肉の風味を大きく損なうことなく解凍ができます。
また、冷蔵庫の温度が1℃~3℃程度であれば冷蔵庫に移して解凍するという方法もあります。」
あおもり短角牛の育て方はどうなっている?
『青森でも短角牛を飼う農家が少なくなっている。霜降り肉の相場にはかなわない。それでもなお続ける生産者は「本来の短角牛、安心して食べていただける牛づくり」を懸命に続けているのです』
3〜5月の間に子牛が生まれ、5〜10月にかけての約6ヶ月間、母牛と一緒に放牧されます。
その後秋が深まると農家に戻り、春が来るまで過ごしますのは広々とした牛舎。
さらに14〜18ヶ月牛舎で仕上げをし、28〜30ヶ月齢、630〜650kgになると出荷です。
放牧中のエサは牧草ですが、牛舎でのエサは牧草や稲わらの粗飼料と収穫後には農薬を使われていない、ポストハーベストフリーで非遺伝子組み換え作物と青森県産の米を使った配合飼料です。
草をたくさん食べるあおもり短角牛の脂肪はやや黄色味が多くなります。
この色は牧草由来のβカロチンなどカロテノイド。
これも健康な牛である証の1つです。
一般的に同じ飼料なら放牧期間中よりも牛舎飼い期間中の方が運動量が少なくエネルギー消費量が減るので体重増加の成績が良いとされています。
しかしあおもり短角牛では放牧期間中の方が牛舎飼い期間中よりも成績が良いという結果がでました。
その理由として放牧期間中は新鮮な牧草を食べ、自然の中でストレスなく過ごすことで腸内環境がよくなり、消化管を始め内臓の働きがよくなり、栄養の吸収率、利用率が上がったものと考えています。
あおもり短角牛が大切にしているアニマルウェルフェアとは?
アニマルウェルフェアとは動物が誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少く行動欲求が満たされた健康的な生活ができる飼育方法を目指す畜産のあり方です。
農林水産省も、生産性の向上や安全な畜産物の生産につながるとしてアニマルウェルフェアの考え方を踏まえた家畜の飼養管理の普及に努めています。
アニマルウェルフェアの具体的な基準目標として「5つの自由」が国際的に認められています。
「5つの自由」はもともと1960年代イギリスで家畜動物が劣悪な飼養管理されていて、家畜動物の福祉を確保するべきだという考えの高まりが起こったことを背景に提案されました。
「5つの自由」
1飢えや渇きからの自由
健康維持のために適切な食事と水を与えること
2痛み、負傷、病気からの自由
怪我や病気から守り、病気のときは十分な獣医医療を施すこと
3恐怖や抑圧からの自由
過度なストレスとなる恐怖や抑圧をあたえず、それから守ること
4不快からの自由
温度、湿度、照度などそれぞれの動物にとって快適な環境を用意すること
5自然な行動をする自由
それぞれの動物種の生態習性に従った自然な行動が行えるようにすること
ストレスなく健康に育った証拠として、あおもり短角牛の内蔵廃棄率はほぼゼロです。
病気で傷んでしまった内蔵は捨てるのですが、あおもり短角牛はそれがほとんどありません。
あおもり短角牛のおすすめの部位はどこ?
あおもり短角牛は料理に合わせて様々な部位を、適切にカットして用意されています。
ステーキにはモモとサーロイン。
すき焼き用にロースとカタロース。
しゃぶしゃぶ用にモモ、ロース、カタロース。
あおもり短角牛は冷凍でお取り寄せができますが夏場は出荷に適した月齢の牛が少なくなるので販売が休止されることもあります。
あらかじめ確認してから注文するのが賢明です。