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東通牛の特徴
東通牛は良質な脂が特徴です。
白く細かく入ったサシは加熱すると低温で溶け出します。
口に入れると甘みとうま味があふれ出し、とろけるような柔らかさです。
それでいて後口はさっぱりとしていて、2口、3口と食べたくなるおいしさです。
そしてしっかりと感じる赤身のうまさ。
力強くありながらまろやかな味わいで多くのひとに好まれています。
東通牛の産地は何県?
東通牛が育てられているのは青森県東通村(ひがしどおりむら)です。
青森県の北側、下北半島の北東部で青森市から車で約2時間のところにあります。
人口5,942人(2020年5月末現在)。
年間平均最高気温26℃、最低気温-6℃。
厳しい風、深い雪、少ない食料の厳冬の中、何日も動かずじっとしている寒立馬(かんだちめ)という馬がいることでも有名です。
東通牛の定義
生まれも育ちも東通村、口にするものも東通村産。
全国の子牛市場で子牛を買う肉牛農家が大半を占めますが、東通牛は村の中だけで一貫して育てられます。
まさに東通の牛が東通牛なのです。
東通牛の読み方
ひがしどおりぎゅうと読みます。
東通牛は生まれ育った土地の名前を冠し、地域に根ざした肉牛です。
東通牛の歴史やルーツ
古くから東通村内の至るところで畜産が盛んに行われてきました。
冷涼な気候と広大で比較的なだらかな地形が畜産に適しているのです。
しかし東通牛が現在の形にたどり着くまでには、長い試行錯誤の道のりがありました。
そしてたどり着いたのは兵庫県美方郡で生まれ育った黒毛和種。
美方産の母牛をベースに特性を生かし計画的に交配をすることで東通村にピッタリの優秀な子牛を生産するに至ったのです。
さらに風土に根付いた畜産技術と絶え間ない品質向上の取り組みを続けることで現在の東通牛が生まれました。
東京芝浦食肉市場で行われた、あおもり和牛枝肉共励会では最優秀賞を受賞。
長崎で開催された全国和牛能力共進会では上位入賞を果たします。
現在では多くの人に認められる肉牛へと成長しました。
兵庫県美方郡とは但馬とも呼ばれ日本有数の黒毛和種の生産地のひとつです。
黒毛和種とは和牛の一種で、古くは近畿、中国地方を主な産地とし、農耕や荷物を運ぶために飼われていました。
明治時代に外国種と交配し改良され、昭和19年に日本固有の肉用種に認定。
その後も日本各地で交配が積極的に進められていくなか、但馬牛は純血を保った改良を続けるため、全て優秀な但馬牛だけを交配に用い、特に美方郡部で飼育される黒毛和種は他に例を見ない特殊な牛になったのです。
他の和牛(※)と比べて体が小さいものの、体の締りがよく足腰が丈夫なのが特徴です。
サシの入り方、肉の色つや、キメなど肉質的に優れた遺伝子を持っています。
さらに特筆すべきは肉の旨みに関連していると考えられているクリーム色を帯びた粘りのある脂肪を多く蓄えること。
日本のみならず世界中にファンがいます。
黒毛和種は日本全国で飼育されており、現在日本で飼育されている和牛の90%以上が黒毛和種になります。
世界的に有名な神戸ビーフや松阪牛も黒毛和種です。
(※)他の和牛:和牛と名乗れるのは黒毛和種以外に褐毛和種、無角和種、日本短角種の3種のみ
東通牛の食べ方
「農家が天塩にかけたものをムダにしたくない、農家の価値がもっと上がるように」
そんな思いから、東通牛は加工品も豊富に揃っています。
しっとりとした食感のビーフジャーキーに、噛み締めるほどにうま味があふれるビーフサラミ。
パリッとした食感で食べごたえのあるソーセージに、柔らかく味わい深い牛丼。
精肉はちょっとハードルが高い……そんな方には東通村特産の東通牛製品を試してみるのもオススメです。
牛の育て方はどうなっている?
「自分たちが育てたものに対して、"東通村産"に対して、愛着と誇りがあるから」
東通牛は強い想いをもった生産者によって育てられています。
東通村で生まれた黒毛和種の子牛は産業振興公社が運営する牧場に集約。
そこで約2年間、一頭一頭の状態に合わせて世話をして育て上げます。
海を見下ろし、太陽が降り注ぎ海風が抜ける牛舎からは津軽海峡が一望できる絶景で、牛たちはストレスフリー。
村指定の配合飼料にくわえ、地元産の稲わら、乾牧草を好きなときに好きなだけおなかいっぱい食べて過ごします。
東通牛の偽物が出回っているって本当?
「安全なのは当たりまえ。おいしいのも当たりまえ。だから安心して食べられる。そこに信用が生まれる。」
東通牛の生産者たちは消費者との信頼関係にこだわります。
2004年から牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛肉トレーサビリティ法)が施行されました。
この法律では国産牛肉について牛の出生からと畜場(食肉処理場)で処理され牛肉に加工され、小売店に並ぶ一連の履歴を10桁の個体識別番号で管理し取引データーを記録することが義務付けられました。
もちろん、東通牛も法律を遵守して飼育、流通、販売されますので偽物が入るスキはありません。
東通牛のおすすめの部位はどこ?
産業振興公社直営のレストハウス「野牛川レストハウス」で東通牛を買うことができます。
しかし地元の人が買うのは冷凍されていない、生の東通牛です。
これは9日、19日、29日と9のつく日だけに販売される特別な牛肉。
9時半に販売を開始するも10時頃には売り切れてしまうほどの人気ぶり。
並ぶ部位はその時によってかわるので、お店の人と好みや料理の相談をしながら選ぶのもよいですね。